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第9回 リハビリの日数制限 -改訂重ね期間複雑化- (2009年12月17日陸奥新報掲載) 2006年4月の診療報酬改定で、リハビリテーションは大きく変わり、医療保険で行うリハビリの日数には制限が設けられました。ところがさまざまな問題が指摘され、度重なる改訂で除外規定が定められたことから、システムはパッチワークのように複雑になっています。

◇脳卒中は180日
 06年の改定では「疾患別リハビリテーション料」が新設され、病気ごとリハビリができる日数が決められました。特に脳卒中の場合、発症後180日を過ぎて「状態が改善しない」時は、医療保険でのリハビリが中止され、介護保険で行われることになりました。

 しかし、東京大学名誉教授の多田富雄先生は「リハビリ中止は死の宣告」と題して「リハビリ日数制限撤廃」を訴え、署名は短期間に48万人にも及んだことから、翌年と08年には一部見直しがなされ、今のところ、介護保険の受け皿がない時は1カ月に13単位(1単位20分)まで継続可能となっています。

 しかし、「状態が改善しない人の維持期リハビリは介護保険で行う」考え方は今も変更されていません。

 脳卒中の入院についても、08年10月から「特殊疾患病棟や障害者病棟の対象患者から除く」「回復期病棟には発症後2カ月を過ぎると入院できない」「重症患者さん、自宅に帰れない患者さんの入院を制限」するルールが始まり、現場の混乱は続いています。

リハビリの日数制限


◇長期の継続が必要
 リハビリは現状を維持することも大切な目標ですし、あきらめずに継続することで、徐々に改善することは多くの人が経験しています。「もうこれ以上よくならない」と言われ、車いすに移ることもできなかった人が、何年もリハビリを継続することで、杖(つえ)で歩行できるまで改善し、さらに杖なしの歩行を目標にしている例もあります。リハビリは「人間の尊厳を回復する医療」であり、一番必要なことは、本人が夢と希望を持ち、リハビリを継続することです。

 現在、来年の診療報酬改定に向けて中央社会保険医療協議会で議論が進んでいます。青森県保険医協会では、日数制限や入院医療制限を廃止し、一人ひとりの必要性に応じてリハビリ医療が受けられるようにすること、医療保険と介護保険の両方から給付が受けられるようにすることを要望しています。

 長妻昭厚生労働大臣も、07年1月26日に「維持期でもリハビリを打ち切ると、自助努力で体を動かしていても、歩けなくなったり、寝たきりになってしまったりする可能性の高い患者さんもおられる。これらの方々に対してリハビリを一律に打ち切ることは、寝たきりの方を増やすことにつながりはしないか。医療費等増大の観点からも問題があると考えるが、いかがか。」と質問趣意書を提出しています。

 来年の診療報酬改定で、維持期リハビリが医療で禁止され介護保険の対象となった場合、06年と同じように、リハビリ難民が出現する可能性もあります。制度について多くの皆さんに理解していただくとともに、今後の審議に注目する必要があります。

青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長
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