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第11回 4月から再診料が変わります -診療所と病院を統一- (2010年2月18日陸奥新報掲載) 今年の診療報酬改定の目玉の一つ、再診料が10日の中央社会医療協議会(中医協)で決まりました。「医療崩壊の解消」のため、「診療所と病院で異なっていた再診料を統一し、診療所から病院に財源を移す」のが目的と理解されています。

 今回はこの再診料改定が、通院中の患者さんと、地域医療崩壊の危機に直面する津軽にとってどのような意味を持つのか考えてみましょう。

◇690円に統一
 医療機関を受診した時の基本的な診療行為の費用は「基本診療料」として決められ、外来では「初・再診料」、入院では「入院基本料」があります。再診料を算定するのは、診療所と一般病床が200未満の病院に限られます。再診料には人件費や設備整備費、光熱費などが含まれますが、入院のある病院の光熱費、設備整備費は入院基本料に含まれるため、病院の再診料は600円と、診療所の710円より低く設定されていました。

 これが今回の改定で、4月からはどちらも690円に変更されます。

 ただし窓口負担は10円未満を四捨五入するので、診療所の引き下げが窓口に反映しない場合もあります。例えば外来管理加算(520円)と再診料だと、医療費は1230円から1210円になりますが、窓口負担は120円のまま。これが消炎鎮痛処置(350円)と再診料なら、医療費は1060円から1040円となるので、窓口負担は110円から100円に変わります。

◇外来診療料変わらず
 一方、一般病床が200以上の病院では再診料は算定せず、「外来診療料=700円」が決められています。今回の改定では病院の外来診療料は検討対象外で、現行のまま継続される予定です。

 今回の改定で、診療所から病院に大きな財源が移ると思われるかもしれませんが、200床以上の病院には全く変更がなく、また200床未満の病院の再診料算定回数は全体の18%程度なので大きな金額は動きません。

 逆に病院の再診料を710円で統一しても、189億円で済むと予想されています。診療報酬の外来プラス財源は400億円なので、まだ200億円の財源が残ります。

 改定の理由である200床未満の病院の経営悪化は、再診料が低いためと考えるより、前回の改定で問題になった「5分ルール」による減収が大きく影響しています。

改定前後の再診料の変化


◇住民と医師の連携を
 財務省と厚労省は、「病院の医師不足は勤務医が開業するから」「開業医は足りているのに勤務医が開業するのは、診療所がもうけ過ぎているから」という誤った前提に基づいて議論を進めています。

 しかし青森県では、病院だけでなく診療所の数も減り、無医町村も出現しています。さらに勤務医も含めた医師の年代分布では、全国平均より高齢化して働き盛りの若手の医師が不足し、開業医の高齢化も深刻です。そんな中で、夜間・休日診療に開業医も参加したシステムが各地で始まり、病院の当直を開業医が応援する例もあります。

 今回の改定は、財務省の「医療費抑制」方針と、患者さん・医療者の声がすれ違ったままの決定と言わざるを得ません。つぎはぎだらけの改定は、ますます医療現場を疲弊させるだけです。医療崩壊のカウントダウンを止める鍵は、開業医と勤務医の対立ではなく、住民と勤務医・開業医の連携なのです。

 不明な点やご意見は、県保険医協会(ファクス017―774―1326)へお寄せください。

青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長
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