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第14回 入院中にほかの医療機関受診は注意 -専門的治療に制限も- (2010年5月20日陸奥新報掲載)  4月の診療報酬改定で、入院中にほかの医療機関を受診したり、薬をもらう場合のルールが変わりました。診療科がそろってない病院や精神科など単科の病院、有床診療所などに入院するときは注意が必要です。入院が決まったら、事前に複数の診療科から薬をもらってから入院するのが良いでしょう。

一般病床入院中にほかの医療機関を受信したら・・・


◇投薬日数に制限も
 これまでは、一般病床に入院中でもほかの医療機関の「専門的な治療」が必要なときは、ほかの機関を受診できました。それぞれ専門が違いますので、両方の医療機関に医療費が支払われ制限はありませんでした。

 4月の改定は、総合病院と医療療養病床にとっては大きな変更はありません。しかし、そのほかの一般病床に入院する時のルールが大きく変わりました。

 「専門的な医療」の範囲が極端に狭められたほか、投薬日数も「受診日」のみに制限されました。入院先の担当医が、担当診療科以外の薬も処方することが原則となります。

 つまり骨折で整形外科の診療所に入院した場合、持病の糖尿病も「入院先の整形外科医が全部治療しなさい」ということになります。インスリンなど糖尿病治療薬も整形外科医が処方するのです。

 ほかの診療科でも同様です。内科入院中の患者が、眼科を受診し目薬が変更になった場合も、その薬は眼科医ではなく入院先の内科医が処方します。

 また精神科単科病院の入院患者が透析を受けている場合は、入院している病院の入院費が透析のたびに30%減ることになっています。かといって透析病院に転医することはできず、医療機関の経営にも大きな影響を及ぼすと予想されています。

 これまでと違って、必要とされながらも専門的な治療を受けることが制限される可能性があります。また専門ではない医師が薬を処方するため、医療事故がおこりやすくなったり、副作用の早期発見が遅れたりする可能性も否定できません。

◇現場混乱、ルール見直しへ
 現場では混乱が広がっており、5月11日の厚生労働委員会でも質疑が行われました。国は「前向きに検討したい」とルール変更、改訂の見直しを示唆しました。

 4月改訂の根拠となっているのは、入院患者がほかの医療機関で受診する必要が生じた場合の取り扱いが、「ほかの保険医療機関へ転医又は対診(専門医が入院医療機関に赴いて診察する)を求めることを原則とする」という規定です。しかし、この規定は、現在のような医療技術が高度化、専門化する以前からのもので、今回の改訂は時代に逆行していると言わざるを得ません。

 現在必要なのは、医療連携を進めながら入院中の患者に必要な専門的医療を提供できるようにすることです。県保険医協会ではほかの医療機関への受診制限を止めるように求めています。

 ご質問やご意見は、県保険医協会(ファクス017—774—1326)までお寄せください。

(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)
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