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第15回 議論進む社会保障の「共通番号」と「個人会計」 -負担と給付 国が管理-
(2010年6月17日陸奥新報掲載)

 今回は現行の制度でなく、将来導入が検討されているシステム「税と社会保障の共通番号」「社会保障個人会計」について解説します。医療、介護など社会保障の財源が議論される時に出てくる言 葉なので、耳にした方もいるでしょう。国家戦略室に設置された「社会保障・税に関わる番号制度に関する検討会」で、今年2月から議論が続いています。

◇制度化へ向けた流れ
 社会保障個人会計という言葉が初めて登場したのは2001年の経済財政諮問会議です。

 「ITの活用により、社会保障番号制導入とあわせ、個人レベルで社会保障の負担と給付が認識評価できる『社会保障個人会計(仮称)』の構築に向けて検討を進める。(中略)『分かり易くて信頼さ れる社会保障制度』を実現する」とされました。

 04年の経団連提言では「財産相続時における、社会保障受給額(特に年金給付)のうち、本人以外が負担した社会保険料相当分と相続財産との間で調整を行う仕組みも検討すべきである」とあ り、「死亡時に財産が余っているのは保障が手厚すぎたと判断し、死後清算で遺産・相続財産から保険金を回収する」ことも考えられています。

 さらに政府の「骨太の方針2006」で「医療費明細書のIT化とともに社会保障カード、社会保障個人会計が社会保障制度の総合的改革のポイント」として挙げられました。

◇個人情報を一元化
 「共通番号」制度は税金や年金、健康保険、介護保険など社会保障にかかわる個人情報を一元管理するものです。国民一人一人に番号(「住民票コード」が検討されています)を付け、分散してい る情報をまとめます。この番号を入れたICチップ付き社会保障カード」があれば1枚で健康保険証、介護保険証、年金手帳の機能を果たすことができます。“消えた年金”もこれで防げたともいわれて います。

◇医療費抑制と増収が目的
 社会保障個人会計は、個人が負担した社会保険料と医療費などの給付状況を国が確認できるようにする仕組みです。共通番号を元に負担した保険料と受けた給付額をそれぞれ清算します。

 限度額を設定し、医療費がそれを超えた時は、額に達していない介護や年金に付け替えたり(カフェテリアプラン型)、年度をまたいで超過分を繰り延べる方法(繰り延べ型)、それでも超過する場合 は自己負担するとされています。

 この制度は公的医療保険の給付抑制と増収を目的としており、新たな保険料の徴収方法として、年度ごとの給付に応じる場合や死亡時に遺産から回収する場合などが考えられています。ですか ら死を目前に「今まで医療費を使い過ぎたので、上限を超えた分を自己負担してください」ということになるかもしれません。

社会保障個人会計の仕組み


◇理解広がるが課題も
 共通番号制度についての理解は広がっていますが、社会保障個人会計については多くの問題点が指摘されています。社会保障個人会計が始動したなら、社会保障制度は大きく形を変えることに なるでしょう。

 社会保障の基本は、憲法25条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」です。 現在は、この権利を実現するために「社会保障基本法」の制定も検討されています。

 ご質問やご意見は、県保険医協会(ファクス017—774—1326)までお寄せください。

(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)
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