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第16回 高額所得者ほど医療保険料は安い? -一定額以上で上限設定-
(2010年7月15日陸奥新報掲載)

 今月は、個人や世帯にかかる医療保険料の「上限額」について解説します。保険料は所得や資産に応じて金額が決まります。一般的に収入が増えると保険料も増えますが、一定以上の所得があ る人の保険料には上限額が決められていて、いくら収入があっても上限額以上に負担することはありません。

 国民健康保険の年間保険料は所得割(世帯の所得に応じて算定)、資産割(世帯の資産に応じて算定)、均等割(加入者一人当たりいくらとして算定)、平等割(1世帯当たりいくらとして算定)を足 し、市町村ごとに決められます。保険料は医療分(すべての人)、後期高齢者支援金分(0~74歳)、介護分(40~64歳)が合算されます。

 国民健康保険では医療分の上限は2009年に47万円となりました。また、協会けんぽの場合は都道府県によって異なっていますが、青森県の場合は約79万円(40~64歳の介護保険第2号被保 険者、事業主も同額)、後期高齢者の場合は50万円となっています(ともに年額)。

各医療保険料の上限


◇平均年収2000万円超も保険料50万円
 一般的に被保険者の所得と納めた保険料については公開されていません。

 しかし東京都練馬区議会議員池尻成二さんのホームページに、かつて掲載されていた同区の後期高齢者所得別保険料の内訳によると、06年度の旧ただし書き所得額(前年の総所得金額などの 合計から基礎控除額33万円を引いた金額)が705万円を超える人は2144人(全体の3・6%)だけでした。そしてその少数の人たちが後期高齢者所得総額の57%にあたる613億円の収入を得て いたのです。

 同年の後期高齢者年間保険料総額は約60億円でしたが、50万円という上限額をなくすと1・5倍の90億円になり、30億円の保険料が増えるそうです。

 ちなみに、上限額の該当になった人たちの平均年収は2861万円。上限額があるために保険料は年額50万円となっていますが、もし上限額をなくしたなら平均で年間191万円の保険料を負担す ることになります。

 一方、企業などが設立し運営する健康保険組合の保険料については、練馬区のように情報が公開されていませんので実態は不明です。

◇広がる経済格差
 近年、経済格差が広がっています。働いても生活保護の水準以下の収入しか得られない「ワーキングプア」や貧困が問題になっています。マスコミ報道によると、10年3月期決算で1億円以上の 役員報酬を受け取った、国内上場企業経営者は累計で289人に上るということです。

 後期高齢者の億万長者であっても保険料は50万円とは、あまりにも不公平と言わざるを得ません。

 介護保険料でも同様の上限があります。これらの上限をなくし、報酬が多い人は「応分の負担」をするべきだという声が広がっています。

 ご質問やご意見は、県保険医協会(ファクス017—774—1326)までお寄せください。

(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)
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