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第17回 弘前市の国保料引き上げ影響は? -滞納世帯増える恐れ- (2010年8月19日陸奥新報掲載)  弘前市議会6月定例会で国民健康保険料の引き上げが可決されました。「世帯所得200万円で、40歳代夫婦と未成年の子供2人の4人家族」というモデル世帯で保険料を算出してみると、今年度は6万4820円アップの45万9520円となります。マスコミ報道などを参考にしてみると、これは全国的にみて高い水準です。今回はこの国民健康保険料について考えてみましょう。

弘前市の国民健康保険料 年間比較


▽後期高齢者支援金分は大幅増
 国民健康保険料は、医療分、後期高齢者支援金分、介護分の三つから成ります。弘前市では介護分に変更はありませんが、モデル世帯のケースだと医療分の合計で1万2920円、後期高齢者支援金分は5万1900円が引き上げられました。

 後期高齢者医療制度は県後期高齢者医療広域連合が運営しているので、支援金分の金額も県内一律と考えられがちですが、実は市町村によって異なっています。弘前市の負担金総額は、制度が始まった2008年度の24億5000万円から、09年度は27億2000万円に増加。さらに当初の保険料が安く設定されていたため大幅な引き上げになったと説明されています。

▽市民「払えない」?
 送付された納入通知書を見た市民から「払える金額ではない」と悲鳴が上がっています。これだけ急激に引き上げられると、保険料を納められない人が増えると予想されます。

 本県の保険料徴収状況(2009年6月1日現在)によると、弘前市の国保加入世帯は3万2967。その24%に当たる7900世帯が滞納しており、県内10市の平均22%を上回っています。

 滞納した場合、事情によっては「制裁を目的に」掛かった医療費の全額(10割)を窓口で払うことになる保険証(資格証明書)が交付されます。弘前市の資格証明書交付世帯は1067と滞納世帯の14%を占め、これも10市平均の5%と比べると、飛び抜けて高くなっています。

 一方、保険料を納めることができない人が増えると、国からの調整交付金が減額されます。

 減額率は収納率によって決められ、弘前市は1998年度5%、2001年度7%、08年度9%と年々交付金が減額されてきました。09年度の収納率は83・9%ですが、今回の保険料値上げで収納率が82%を下回ると減額率は11%になるため、さらに財政が悪化しないか危惧されています。

▽赤字解消へ対策は
 弘前市の引き上げは4億円を超す赤字会計を解消するためと説明されています。保険料を引き上げるほかに解決方法はないのでしょうか?

 県保険医協会では保険料の上限額を見直すように主張しています。国保料の上限額を超える弘前市の高所得世帯は、06年度は課税対象世帯の3・5%(1268世帯)。上限額をなくすと5億円を超す増収が見込まれます。高所得者にとっても、保険料を多く納めることで、税金が減額されます。

 一方で、市町村から県単位へと国保の統合も検討されていますが、これは「お金が入っていない財布を合わせてもお金は増えない」状態でしかありません。抜本的な解決策が求められています。

 ご質問やご意見は、県保険医協会(ファクス017―774―1326)までお寄せください。

(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)
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