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第18回 地域医療は「基金」で再生するか(上) ~青森地域保健医療圏勤務医の確保が課題
(2010年9月16日陸奥新報掲載)

 青森県の医師不足がますます深刻になっています。その影響が患者や住民に「医療崩壊」として見える形になってきました。真っ先に問題になったのが障がいを持つ子供たちの医療、もう一つは、つがる西北五地域の医療です。


 本県では国の「地域医療再生臨時特例交付金」を使い、この二つの分野への医師確保と医療再生を目指しています。総額50億円の基金で、それぞれの医療崩壊が回避できるのかを2回にわたり考えてみます。

県の地域医療再生計画


▽深刻な医師不足
 障がいを持つ子供たちの医療と療育を受け持つのは、青森、弘前、八戸の3市にある県立医療療育センターです。これら肢体不自由児および重症心身障害児施設は、故東野修治弘前大学名誉教授の呼び掛けによって設立され、約50年間にわたり全国水準以上の医療が提供されてきました。


 近年、医局講座制廃止や卒後研修医制度によって本県の勤務医不足はますます深刻となっています。先に挙げたセンターも例外ではなく、来年4月からの医師確保に赤信号が点灯しています。


 今年1月には「青森県地域医療再生計画(青森地域保健医療圏)~周産期医療から療育まで~患者本位の切れ目ない医療提供体制の構築」が策定され、国の地域医療再生基金25億円の交付が決まりました。


 さらに関係者が集まって「青森圏域等療育機能検討会議」も開かれ、肢体不自由児および重症心身障害児施設を統合し福祉施設への転換が計画されていますが、大きな困難にぶつかっています。施設を統合しても、次々と定年を迎える勤務医が多く、このままでは医学部定員増の効果が表れる10年後を待たずに、医師を確保できない可能性も出てきました。


 医師が確保できないと、福祉型施設転換後のリハビリなど現在のサービスが維持できなくなる恐れもあります。

▽勤務医の定年延長を
 医師不足対策として青森県保険医協会では、勤務医の定年を延長し現有医師数を確保するように提案しています。


 現在、医師の定年は国家公務員法と地方公務員法によって65歳と決められ、1年ごと最大68歳まで延長することができますが、それ以後はできません。定年退職後、医療から介護分野へ転職する医師もいます。


 一方、民間病院では68歳を過ぎても元気な医師は、長年の経験と専門性を生かして医療に従事しています。定年制延長には国家公務員法、地方公務員法の改正も必要ですが、地域医療を守る緊急対策として有効です。


 さらに医師を確保するには、関係者が同じ夢と同じ目標を持つことが必要だと考えています。現在、関係者は10年後を目標に肢体不自由児(者)と重症心身障害児(者)はもちろん、発達障害児(者)も対象にした「青森県立総合療育センター」設立を目指そうとしています。


 また宮崎県延岡市では、2009年9月定例市議会で「延岡市の地域医療を守る条例」が可決されました。患者、市民、医療関係者、行政が総力を結集して、それぞれの役割の下で地域医療を守っていこうという動きも見られます。


 次回は中核病院の建設計画が進む、つがる西北五医療圏内の医療について話します。

 ご質問やご意見は、県保険医協会(ファクス017―774―1326)までお寄せください。

(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)
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