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第19回 地域医療は「基金」で再生するか(下)~つがる西北五医療圏
(2010年10月21日陸奥新報掲載)

 住民との連携も重要

 つがる西北五医療圏は香川県とほぼ同じ面積に約15.5万人が住んでいます。この地域の医師数(開業医も含む)は、2008年の医師・歯科医師・薬剤師調査によると10万人当たり91.6人。全国平均が212.9人、県平均は174.4人ですから、同医療圏の医師数は全国の2分の1以下となります。

自治体病院再編前後の病床数と医師数


▽医師の高齢化が不足に拍車
 本県では全国の傾向と逆に開業医数が年々減っています。その理由として、退職した勤務医が開業せずに医療から介護の分野に転職することが多く、さらに高齢を理由にした開業医の閉院が挙げられています。

  つがる西北五医療圏の医師不足の特徴は勤務医数の著しい減少ですが、今後は高齢化による開業医の閉院も増えると予想されています。

▽急性期医療完結に困難も
 このような医師不足の状況を何とか打開しようと、五所川原市に中核病院を新たに整備し、圏域の医療機関を統合再編する計画が、国の交付金などを利用しながら進められています。

  今年10月から五所川原市立西北中央病院に眼科と麻酔科の常勤医が増えました。中核病院では脳外科、泌尿器科、糖尿病専門医などの増員が計画されています。しかし神経内科、放射線科、リハビリ科の常勤医は今後も不在で、すべての急性期医療が同地域で完結することが困難と予想されています。

  さらに医師不足と国の低医療費政策の下では、現在の事業計画のままだと病院経営が赤字になるのではないかと危惧されています。現行のルールでは、必要な医師数が入院患者数、外来患者数によって決められ、その標準医師数の70%を下回ると、入院基本料がカットされることになっているからです。


▽中核病院に患者集中の恐れ
 一方、入院病棟がなくなり無床になるサテライト診療所(つがる市立成人病センターと鶴田町立中央病院)では常勤医が1人になります。そのため多くの外来患者に対応できないかもしれないと不安が高まっています。結果として、中核病院に患者が集中してしまうかもしれません。

  前回、現状の医師数を確保するために勤務医の定年延長を提案しました。もう一つの切り札は、住民・行政・医療機関のコラボレーション(連携)です。特に地域住民の理解と協力が大切になります。

  深刻な医師不足の中で中核病院とサテライト診療所の負担を減らすためには、「かかりつけ医を持ち、日ごろから健康管理に努めるとともに、安易な時間外受診を控える」などといった市民の協力が必要です。

  また医療機関の役割としては「患者の立場を理解し信頼関係を醸成すること。医療機関相互の機能分担、業務連携」、そして行政には「地域医療を守るための施策を推進し健康長寿推進のための施策を実施する」ことが求められます。

  宮崎県延岡市の「地域医療を守る条例」には、それぞれの役割としてこれらの項目が掲げられており、同市の「行政らしくない取り組み」に期待が集まっています。

  青森県保険医協会は、よりよい「再編計画」を住民と関係者が一緒に考える機会の第1弾として、30日午後6時からに五所川原市の地域職業訓練センターで「地域医療再生フォーラム」(参加無料)を開きます。

 ご質問やご意見は、県保険医協会(ファクス017―774―1326)までお寄せください。

(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)
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