医療・福祉制度ナビ -知っておきたい最新情報-
第20回 どうなる?医療と介護(上) ~介護保険 (2010年11月18日陸奥新報掲載)

 給付範囲変更に懸念

 2012年度から医療と介護の制度が大きく変わる予定です。法改正も必要になるため、急ピッチで制度の見直しが進められています。どのように変わるのか2回にわたり整理してみましょう。




▽増える保険給付額
 介護保険制度の見直しは国の諮問機関で議論されています。今後も保険給付の増加が見込まれ、保険料の上昇や公費の負担増が予想されます。その回避策として給付抑制や利用者負担の引き上げが検討されています。

 介護保険を利用するためには介護認定が必要です。申請すると調査と主治医の意見書を基に、介護度を決定。判定結果は非該当、要支援1~2、要介護1~5の8段階に分けられ、要支援と判断された場合に受けるサービスが「予防給付」、要介護は「介護給付」 と呼ばれ区別されています。

 改正の一つに、給付範囲の見直しがあります。介護給付を重度の利用者に限定し、軽度者は予防給付にするということです。要介護1~2を予防給付にし、介護給付は要介護3~5までとする具体案も出されています。

▽生活援助、除外の可能性も
 すでに介護サービスを受けている人が介護給付から予防給付になった場合、変更点がいくつかあります。

 施設への入所はショートステイとケアハウスだけになり、介護保険施設への入所ができなくなります。

 予防給付のホームヘルプサービスは自立支援が目的で身体介護と生活援助の区別がないため、内容が変更になる可能性があります。さらに今回の見直しで、予防給付から家事などの「生活援助サービス」を除外することが国から提案されています。
 そうなれば要介護から変更になった一人暮らしの人はダブルパンチをくらい、自宅での生活ができなくなる可能性もあり、不安は高まっています。

 また福祉用具貸与にも利用しにくい制限ができ、ベッドなどの利用に複雑な手続きが必要になります。ほかに高齢者支援を行う総合機関「地域包括支援センター」の機能強化も今回の改正のテーマになっています。


▽現場の声届けて
 一方、重度の要介護者に給付を重点化する観点から「24時間地域巡回型訪問サービス」を導入する予定です。しかしこれは青森県の実情にそぐわないと現場から声が上がっています。本県では慢性的な看護師不足に加え、ヘルパーも足りず問題になっています。人口密度も低く、隣家が離れて存在するため、都会に比べ多くのスタッフが必要になります。さらに雪が積もる冬の巡回は、とても困難になると予想されます。

 このままだと新制度を利用できないことが危惧されます。一人暮らしでも住む場所を自己決定できるように選択肢を広げ、「24時間地域巡回型訪問サービス」も利用できることが理想的です。

 急ピッチで進んでいる見直しに現場からの声を届けることが必要です。

 ご質問やご意見は、県保険医協会(ファクス017―774―1326)までお寄せください。

(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)
※この記事は、当該ページに限って陸奥新報社が記事利用を許諾したものです。転載ならびにこのページへのリンクは固くお断りします。

問い合わせ
〒030-0813 青森市松原1丁目2-12 青森県保険医会館内
TEL.:017-722-5483 FAX:017-774-1326
MAIL:a-hoikyo@ahk.gr.jp
事務局までの交通アクセス(地図)



TOP 青森県保険医協会 企画 資料 リンク 出版物 会員ページ