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第21回 どうなる?医療と介護(下) ~医療保険 (2010年12月16日陸奥新報掲載)

 都道府県で国保運営

 2012年度で廃止される後期高齢者医療制度は、新制度が検討されています。このほど厚生労働省から高齢者医療改革の最終報告案が示され、11年度には法案が提出される予定です。

 ▽1100万人が国保移行
 厚労省の案によると、後期高齢者医療制度廃止後、対象となる75歳以上の高齢者のうち200万人は協会けんぽなどの被用者保険に移り、残りの1100万人は国民健康保険(国保)に移ります。

 そこで受け皿となる国保の見直しも進められています。現在は市町村が運営している国保を「都道府県単位化」することです。第1段階として、75歳以上が移行する国保の財政運営を都道府県に、その後の第2段階では74歳以下の市町村国保加入者についても、都道府県運営に一元化するとされています。

 国保の都道府県単位かはこれまでも検討されてきましたが、後期高齢者医療制度の廃止に伴って移行への圧力が強くなっています。本県でも「青森県国民健康保険広域化等支援方針(案)」が示され、20日まで県民からのパブリックコメントを募集しています。

しかし赤字を抱える国保の“財布”を広域化して一つにしても黒字になることはありません。逆に市町村独自の減免制度が後退したり、かえって一般会計から国保会計への繰り入れが増えたりする可能性もあります。社会保障制度として考えれば、財政運営は国が責任を持ち、保険証の交付や被保険者の移動などの給付管理は市町村が受け持つ必要があります。




 ▽日医は全国一本化案
 一方、日本医師会(日医)は「国民の安心を約束する医療保険制度」を発表し、公的医療保険制度の全国一本化を提案しました=図参照。

 それによると第2段階で高齢者医療制度と市町村国保を統合し都道府県単位の「地域保険」を創設。同時に「職域保険」として共済組合と協会けんぽを統合、組合健保も段階的に統合します。

 第3段階では職域保険に国保組合を統合(地域保険的な組合は地域保険への移行も可能に)し、25年以降の第4段階では、地域保険と職域保険を一つにする内容です。

 ▽負担減へ公費投入を
 さらに日医は「国民医療費に占める事業主保険料の割合が相対的に低下していること。国保では保険料賦課限度額、被用者保険では標準報酬月額に上限があり、保険料は所得や年収に比例していない」などの問題点を指摘。「公費を投入し高齢者や低所得者の負担をできるだけ少なくしていくべき」としています。そして保険料改革として「保険料率の高い協会けんぽの水準に引き上げ、さらに上限額も引き上げることで高額所得者に応分の負担を求める」ことを提案しています。

 ▽重い窓口負担に受診控えも
 本県など全国の保険医協会の調査によって、アンケートに答えた39%の医療機関で「患者の経済的な理由による治療の中断、中止」があることが明らかになりました。

 高すぎる医療費が負担なっているほかに、不況の影響もあると考えられています。社会保障としての医療が、経済的な理由で受けられないことがあってはなりません。そのような「受診抑制」をなくし、患者の医療費の窓口負担“解消”を目指す「ゼロの会」が国などに働きかけています。

 ご質問やご意見は、県保険医協会(ファクス017―774―1326)までお寄せください。

(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)
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