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第24回 先進医療とは? ―要件厳しく多額負担― (2011年3月17日陸奥新報掲載)

 今回は、生命保険や医療共済の宣伝広告でよく見掛ける「先進医療」について解説します。先進医療を理解する前に、まず保険診療、自由診療、混合診療について整理してみましょう。

 ▽混合診療 日本では禁止
 全国民がいずれかの健康保険に加入しているわが国の皆保険制度では、健康保険で受けることができる診療(保険診療)の範囲や価格が細かく決められています。

 一方、美容整形などの医療は健康保険の範囲外(自由診療)で、全額が患者の自己負担になります。また、自殺未遂の場合も、精神疾患などに起因する以外は「故意」と判断され、給付を受けられません。

 そして健康保険の範囲内の治療でも、認められていない薬を使用したり、認められていない治療を一緒に行った場合などは、保険診療と自由診療が混在することになります。これを「混合診療」と呼びます。

 介護保険制度の場合は、自己負担すれば利用限度額を超えたサービスを受けることができ、「混合診療」が認められています。

 しかし、健康保険では混合診療を禁じているため、保険の範囲を超えた診療の費用を患者から徴収できません。一連の診療費用は、保険が利くものでも初診にさかのぼって自由診療とされ、全額患者負担となります。


 ▽実施機関と技術に制限
 混合診療が認められる例外があります。2006年の改訂で編成された、「評価療養」(先進医療や適応外の医薬品・医療機器の使用など)と選定療養(差額ベッド代、制限回数を超える医療行為など)です。

 11年3月1日現在、90種類の医療技術(第2項先進医療)が先進医療に指定されています。がん治療に有効な「重粒子線治療」のほかに「インプラント義歯」「内視鏡で行う手術」「遺伝子診断」などがあります。最先端の技術としては、ロボットを用いた手術など31種類(第3項先進医療)が指定されています。

 しかし先進医療は、どこの医療機関でも行えるわけではなく、実施医療機関には厳しい要件が必要とされています。
  県内で認められているのは、インプラント義歯(弘大医学部附属病院)、超音波骨折治療法(同附属病院、県立中央病院)、内視鏡下小切開泌尿器腫瘍手術(同附属病院)、内視鏡的大腸粘膜下層剥離術(同附属病院、むつ総合病院)などで、受けられる技術と機関が限定されています。


 ▽高額療養費の適用外
 図を参考に先進医療の費用が20万円で、医療費が合計100万円かかった場合について考えてみましょう。

 先進医療の20万円を除く80万円は健康保険が利きますので、健康保険から56万円が医療機関に支払われ、患者は80万円の3割に当たる24万円を負担します。そして、先進医療の20万円は全額患者負担となるため、自己負担分は24万円プラス20万円の合計44万円になります。保険診療の自己負担分は「高額療養費制度」の対象ですが、先進医療の20万円は制度の対象にはなりません。

 このように、先進医療を受けた時は自己負担が多額となるため、健康保険とは別の「民間医療保険」が注目されることになります。

 先進医療は厳しい条件が付けられており、誰もが、必要なだけ受けられる状況にはありません。多くの医師は、有効性と安全性が認められた先進医療は一日も早く健康保険の対象にするべきだと考えています。





(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)
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