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第26回 被災地からの二次避難事業 -岩手から136人本県へ- (2011年5月19日陸奥新報掲載)

 東日本大震災の被災地では仮設住宅の建設が進められていますが、隣の岩手県では死者4450人、行方不明者2994人(17日現在、同県災害対策本部)の被害となり、いまだ3万1337人(同日現在、同)が不自由な避難所生活を送っています。

 

 ▽二次避難に財政支援

 3月29日、国は301億円の予備費を準備し、避難所から離れた地域への「二次避難事業」を市町村と都道府県が準備するよう通知しました。二次避難を受け入れた自治体は、災害救助法に基づき財政的な支援が受けられます。

 同日、自民党の「被災者『二次避難』プロジェクトチーム」も「ホッと・あっとHome」計画を提案しました。その中で「二次避難を検討する被災者の希望と、受け入れを計画する先の受け入れメニューをマッチングさせる情報のプラットフォームの早期確立と、被災者一人一人への情報伝達、周知徹底、納得、マッチングのお世話などの仕組み、担い手の選定などを急ぐことが必要」と述べられています。

 

 ▽温泉でリラックス

 本県の短期二次避難事業としてゴールデンウイーク中(4月30日~5月4日)に2泊3日の日程で、岩手県陸前高田市、釜石市、大槌町から総勢136人が青森市の浅虫温泉を訪れました。

 「久しぶりにテレビを見た」「(震災後初めて)畳の上で布団に寝た」などと、温泉に入ったりしながら疲れを癒やしてもらったほかに、浅虫水族館の見学と弘前公園のお花見の2グループに分かれて大型連休を楽しんでもらいました。

 避難者への情報伝達と県内でのサポートは、ボランティア団体「ほっと一息プロジェクトチーム」と県保険医協会が行いました。滞在中、血圧が高い人には治療を受けてもらい、津波でつえを流された人につえを調整しました。

 一方、家族が行方不明中の人、家族を亡くした人の心は、大きなストレスにさらされ続けています。「避難所に新聞はあるが、亡くなった人の名前が毎日掲載されているので見ないようにしている」という人もいました。

 避難所によっては、スペースの問題や公平性の理由などで、毛布を敷いた上に寝ているそうです。またラジオ体操が日課になっていますが、ウオーキングを中断した人もいます。がれきの中を歩く以外にちょうど良いコースが見つからず、やめてしまったということでした。

 また朝食から菓子パンがでることもあり、糖尿病の食事療法も困難になっています。大腿骨骨折でリハビリ中の母親が介護施設に入ったものの被災し、リハビリができずにいる―という家族の相談があるなど、被災地での医療と介護の問題も改めて浮き彫りになりました。


写真:弘前公園を訪れた被災者たち(2011年5月5日)



 ▽不十分な医療と介護

 大きな被害を受けた地域では医療機関や介護施設も被災しました。陸前高田市、大槌町、山田町では救護所や仮設の診療所で医療が提供され、介護サービスは被害を受けなかった施設で提供されていますが、質・量ともにまだ不十分な状況が続いています。

 一日も早く「健康で文化的な最低限の生活」が確保できるように長期にわたる継続した支援が必要です。県の二次避難事業は当分継続されます。問い合わせ、申し込みは生活再建・産業復興局(電話017―734―9580・9581)。あるいは県保険医協会(電話017―722―5483、ファクス017―774―1326)までご相談ください。



(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)

 

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