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第38回 介護士らもたん吸引が可能に -知識と技能得て認定- (2012年5月17日陸奥新報掲載)

 4月から社会福祉法と介護福祉法の一部が改正され、特別支援学校教員やヘルパーらが正式に、(口腔や鼻腔、気管カニューレ=気管内に挿入されている管=から)たんの吸引を行えるようになりました。

 

 ▽安全な吸引へ法制化

 たんの吸引は医療行為として、医師、看護師、本人家族にだけ認められていました。しかし、筋肉が萎縮し筋力が低下していく難病「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」の患者家族の声に押されて2005年には、厚生労働省の通知により一定の要件の下、家族以外の非医療職にも拡大されました。

 今までは、例外として容認されてきましたが(実質的違法性阻却論)、今後は将来にわたって、より安全な提供を行えるよう法制化されました。

 法改正により、介護福祉士は、本年度からの養成課程において喀痰(かくたん)吸引および経管栄養に関する知識と技能を習得し、15年度の介護福祉士国家試験合格者から吸引等ができるようになります。

 また今年4月から、介護職員らが新たに吸引を行う場合は、都道府県が実施する研修を終了し、「認定特定行為業務従事者認定証」が交付されれば可能となりました。しかし年度をまたいで今も継続して?年度の研修会を受けている人もおり、検討課題を多く抱えたままのスタートとなっています。

 さらに、一定の要件の下、現在すでに在宅や特殊支援学校でたんの吸引等を行っている人については、「たんの吸引等の研修を受けた者と同等以上の知識および技能を有している」と、都道府県知事から認定を受ければ引き続きできます。

 都道府県の認定は、吸引の対象者によって申請課が異なります。「不特定多数者」を対象とする場合は高齢福祉保健課、「特定者」を対象とする場合は障害福祉課が担当します。

 

 ▽各機関の連携重視

 吸引する人には知識や技術が求められますが、事業者にも「医療関係者との連携」「安全確保措置」などが求められ、登録事業者となる必要があります。

 医師は指示書を出し、事業者は利用者に計画書を示し業務手順書に従って吸引を行い、医師には実施状況を記載した報告書を提出することになります=図参照=。

 

 

 ▽自動吸引装置が開発

 一方、新しく開発された自動吸引システムが、気管切開している人の吸引回数を減らすことができると期待されています。

 ALSや脳血管障害で、飲み込みに障がいがある人は肺炎を起こしやすいため気管切開することがあります。

 嚥下障害があると、唾液が口から食道に飲み込まれずに、誤って気管に流れ落ちます。この場合、気管切開チューブから吸引される液体のほとんどは唾液です。

 気管に落ちた唾液を、特別の気管切開チューブと持続吸引装置を組み合わせることで、吸引の回数を大きく減らすことができると報告されています。患者本人と家族から夜間の吸引回数が減り、熟睡できるようになったとの声が多く届けられています。(大分県の山本真医師のホームページ=http://www3.coara.or.jp/~makoty/=より)

 本システムは気管切開している全員に有効とは限りませんが、主治医と相談の上、検討してみてください。

 吸引を必要としている人々が制度の改正や、システムの工夫により、今よりも安全に安心して吸引が受けられるようになり、生活の質が向上することを願っています。


(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)

 

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