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第42回 本県の医師不足は赤信号 -若手の人材難に懸念 (2012年9月20日陸奥新報掲載)

 文部科学省はこのほど、医師不足や地域による医師の偏りを解消するため、来年度から国公私立大学医学部の入学定員を増やす方針を発表しました。

 医学部の定員増加が東日本大震災の被災地や本県の医師不足解消につながるのか注目が集まっています。今回は国がまとめた最新の統計結果から、本県と全国の医師数についてまとめてみました。

 

 ▽10年間で5.5%増―本県

 本県の医師数は2000年の2374人から、10年には2505人と10年間で131人増えました。しかし同期間、全国の医師数は15.3%増えている中、本県は5.5%と増加率が鈍いことが分かります。

 人口10万人当たりの医師数は182.4人で全国平均の219人より36.6人少なく、人口を140万人とすると全国平均より500人以上、最も医師数の多い京都府と比較すると1400人以上少ないことになります。経年的に見ると、その差は年を追うごとに拡大しています。

 その要因は、病院勤務医の増加率が鈍く、さらには診療所の医師数が減少傾向にあるためです。ここ10年を見ると、診療所の医師数は全国的に増加していますが、本県はほぼ横ばいとなっています。医師が高齢になったために閉院する診療所が相次いでも、新規の開業は増えていないのです。

 

 ▽高齢化が課題

 医師の年齢構成(10年)を全国と比べると本県では40歳以下の割合が低く55歳以上の割合が高くなっており、高齢化が進んでいることが分かります=図参照=。



 全国と比べて40歳以下の医師が6.7%、人数にして168人も少なくなっています。

 12年度に県内の病院で採用になった研修医の人数は、昨年度より7人減って64人となりました。

 もし、このまま若い医師が増えなければ、高齢の勤務医の退職、診療所の閉院が続くことが見込まれ、あと10年もすれば、さらに本県の医師不足が深刻化する懸念があります。

 

 ▽医師分布は“西高東低”

 都道府県別に人口10万人当たりの医師数と、100平方㌔㍍当たりの医師数を見てみると、日本は“西高東低”の傾向が明らかになっています。中でも東日本大震災の被災地でもある本県、岩手、福島の3県の医師不足は深刻です。

 患者さんの実感にあっている医師不足の指標は100平方キロメートルあたりの医師数といわれますが、最も過密な東京都1741人に対し青森県は27人と65分の1となっています。

 一方、10年のデータで、20代医師(研修医を含む)の43%が、東京、大阪、札幌、仙台といった政令指定都市や特別区に勤務しています。

 研修医と若い医師が大都市に集中する流れになっていることは、今後の医師不足を考える上で大きな問題です。

 

 ▽若手の確保には

 医師の絶対数は増えていますが、医療技術の進歩や高度化にともない、必要となる医師数も増加しているため、現場ではますます人員不足が問題になっています。

 医学部の定員を増やすだけでは、医師の偏在を解消することは難しいと思われます。日本医師会も医師を確保することが最重要課題として、各大学に「臨床研修センター」を設置し、卒業生の進路決定を支援するよう提案しています。

 今後は、「職業選択の自由」を尊重しながら、若い医師に医師不足の地方で勤務してもらうための「研修の義務化」など、研修システムの変更も視野に入れた見直しが必要かもしれません。

 

(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)
=第3木曜日掲載=

 

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