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第43回 薬品の一般名処方 -加算の対象が複雑化- (2012年10月18日陸奥新報掲載)

 今年4月から処方箋に記載される薬品が商品名ではなく、一般名で記されることが多くなりました。今年度の診療報酬改定で「一般名処方加算」が新設されたためです。「薬価基準に収載されている品名に代えて、一般的名称に剤形及び含量を付加した記載による処方せんを交付」した場合、医療機関に2点加算されます。

 

 

 ▽目的は後発薬品の使用促進

 医薬品には「商品名(銘柄)」があり、同じ成分の先発薬品でも複数の製造元から異なった商品名で販売されることがありますし、後発品はそれぞれの商品名で製造販売されています。

処方箋の記入は「一般名」の場合と、「商品名」の場合があります。一般名のときは銘柄を指定しないという意味で、商品名のときは銘柄を指定するか、銘柄変更を薬局に委ねるかを明らかにすることになっています。

一般名処方自体は昔からあったのですが、今回の改訂は「後発品の使用促進」「保険薬局における後発医薬品在庫管理の負担軽減」を目的とし、一般名処方が推進されました。そのために、一般名で記入しても後発品がない場合は加算を認めない、加算は先発品と後発品がある薬剤に限り算定を認める―など、複雑なルールとなりました。

 

 ▽分かりにくいルール

 具体的には、後発品がない漢方薬、先発品が製造中止になり後発品だけが使われている薬剤は算定対象外、同じ薬効成分が含まれる場合でも、先発品はゲルで後発品が軟こうという場合は算定できるのかが不明のまま経過するなど、非常に分かりにくくなりました。

さらに、今年4月の時点で全ての記載方法(一般名処方マスタ)が示されず、レセプトコンピューターのバージョンアップも間に合いませんでした。7月1日になって初めて算定可能な記載方法が全て示され、混乱は一段落しています。

処方箋に薬剤を記載する際、一般名の前には【般】を付け加えることになっています。また、薬剤が複数処方される場合、一剤でも一般名であれば加算対象となります。

 

 ▽現場の対応

 日医総研の6月の調査では、約3割の医師は一般名処方加算を算定せず、その理由として後発医薬品を信頼できない、患者さんに分かりにくい、趣旨に賛成できない―などを挙げました。

 また、製薬会社が7月に行った調査では「一般名で処方した経験がある医師は52%」でした。勤務医はコンピューターを使っての処方が多いため、今後は「一般名処方を行う勤務医が増える」と予想しています。

 一方、処方箋に従って薬を調剤する保険薬局では患者さんへの説明のほかに、処方箋を発行した医療機関に対し、実際に調剤した薬品の情報を提供することが義務化されました。しかし、新しいシステムに対応できないケースもあったようです。

 

 ▽患者さんへの影響

 診療報酬改定に伴って処方箋の様式が毎回変わり、患者さんには分かりづらくなっています。さらに、2点の加算は医療費としては20円ですが、窓口負担の金額(医療費の3割、1割を負担)は10円未満が四捨五入されるので、窓口負担が変わらない人と10円増える人が出てきます。

 「保険薬局における後発医薬品在庫管理の負担を軽減」から始まった今回の一般名処方ですが、「患者さんが分かりやすい」ことを第一に考え、現場の負担を最小限にする周到な準備をしながら見直す必要があると思われます。

 

(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)
=第3木曜日掲載=

 

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