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第48回 生活保護患者への後発医薬品 -使用強制は時期尚早- (2013年3月21日陸奥新報掲載)

 今回は、生活保護患者に対する「後発医薬品(ジェネリック医薬品)」の使用促進について考えます。

 保険医が順守するべき療養担当規則では「後発医薬品の使用を考慮するとともに、患者が後発医薬品を選択しやすくするための対応に努めなければならない」とされていますが、最終的には医師の裁量に任され、後発品使用を強制されてはいません。

 しかし、今回の生活保護患者に対する「後発医薬品」の使用促進では、一歩進んで強制力を持たせようとしています。

 

▽ジェネリック使用には医師間で温度差

 生活保護法によれば「福祉事務所長が要保護者の診療を指定医療機関に委託」します。その時の指定基準が「医療扶助に基づく医療等について理解を有している」となっているため、後発品を使用しない医療機関を指定から外すことも可能です。

 「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」によれば、後発品を使わない医療機関に対しては「なぜ使用しないかを調査」し、「使用するように指導」し、指導に従わないときは「指定の取り消し」もあり得るとしています。

 後発品使用について医師の判断には温度差があります。

 日本小児神経学会、日本てんかん学会は「てんかん患者の抗てんかん薬治療においては、先発医薬品と後発医薬品、あるいは後発医薬品同士の切り替えに際して、医師および患者の同意が不可欠であるとともに、充分な情報提供が求められる」と提言 しています。

 また「先発医薬品とは異なる後発品の添加物が原因となり、アレルギーが発現する可能性」が指摘されています。

 

▽異なる添加物の含有量

 痛み止めとして使用されるロキソプロフェンナトリウムについて、先発品と後発品を比較してみました。1錠の重さは薬剤の添付文書に表示され、どの薬剤も有効成分は61.8mgで、それ以外は添加物になります。先発品の重さは250mgですが、後発品 は180mgから約300mgまであります。先発品の添加物は188.2mgで、後発品の添加物は118.2mg~238.2mgということになります=図参照=。



 後発品は、溶出試験とともに人間での試験(生物学的同等性試験:同じ人が別々の日に先発品と後発品の薬を飲み血液中の濃度を測定し、ほぼ同じような濃度である時に「同等」と判定されます。)も行われます。この試験は健康成人(男子)で行われま すが、いろいろな病気を持っている人での試験はなく、小児についても試験が行われません。全ての薬剤で副作用報告が義務化されていますが、発売後長期間を過ぎて新たな副作用が報告される薬もあり、先発品と後発品の副作用報告を比較し、 同等性が確認されるのが望ましいと思われます。

 以上みてきたように、後発品の使用については医療現場の経験と情報を蓄積しながら、処方する医師の判断を尊重する必要があります。

 日本医師会も医療扶助における後発医薬品の使用促進に取り組んでいますが、『「処方医が後発医薬品への変更を不可」としている場合には対象としない』としています。

 薬剤費を重要視するなら、何種類も飲んでいる薬全部を機械的に後発品に変更するより、1剤でも薬を減らすことができないか、患者と医師で相談する方が費用も減らし、副作用や薬害も減らすことができます。

 生活保護の人にだけ、半ば強制的に後発品を勧めることは時期尚早と言わざるを得ません。特に小児は慎重に判断する必要があると思われます。

 

(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)
=第3木曜日掲載=

 

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