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第49回 自死を防ぐ -官民連携で支援期待- (2013年4月18日陸奥新報掲載)

 2006年に自殺対策基本法が成立し、民間団体も含めて自殺防止活動が広がり、12年の自殺者数は前年より減って3万人をきりました。

 しかし、いじめや体罰によるこどもの自殺もあり、10代では死因の上位を占め、20~30代では死因の第1位となっています。月別の自殺者数は3~5月が多いことから、今回は本県における自殺防止対策について考えます。

▽不足する専門医

 本県の自殺率は秋田県、岩手県とともにワースト3グループでしたが、09年以後は減少し、11年はワースト7位となりました。このまま減り続けることが期待されています。

 先月3日には青森市で、自殺対策に関わる民間団体が連携を強めようと交流会が開催されました。秋田県のNPO(民間非営利団体)の活動を聞き、民間団体のネットワーク構築に向けて第一歩を踏み出しています。

 医学的に自殺は精神科が対応し、自殺未遂者の治療では精神科救急システムが整備されつつあります。一方、県内の医師不足は深刻で、精神科専門医も不足し、特に西北五、下北、上十三地区は医師も臨床心理技術者も極端に不足しています。

 自殺未遂で救命医療を受けた時、本人と家族に医療費の全額を請求されることがあります。健康保険法に「故意に給付事由を生じさせた場合、保険給付は行わない」と規定されているためです。ただ、「その傷病の発生が精神疾患等に起因するものと認められ場合は保険給付の対象」となっていますので、担当医にご相談ください。

▽複数が絡む自殺要因

 自殺対策に取り組むNPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」(事務局・東京都)は、亡くなった305人の遺族から聞き取りをし、自殺の要因は一つではなく、多くの人は複数の危機要因(平均4つ)を抱えていたと報告しています。「自殺の10大要因」が連鎖しながら、「自殺の危機経路」を形成すると解析しています。



 島根県では遺族の強い要望を受けて「自殺」の呼び方を「自死」と変更しました。残された遺族の悲しみを支えようと、青森県立精神保健センターでは「自死遺族の集い」を開催しています。

 ライフリンクの調査では、遺族は「心理、生活、経済、教育、法律など多くの課題を抱えている。自死に対する社会の誤解や偏見から、周囲の冷たい目にさらされ、自死遺族の回復の足を引っ張っている」と指摘しています。自死遺族の人数については正確には把握されていませんが、300万人との推計もあります。

 医療や保健の専門家、青森県や市町村はもちろん、民間のボランティアも加わったサポートの輪が広がることが期待されています。

 地域に密着したボランティアや、医療関係者が自死の危険性がある人の相談に乗り、ゲートキーパー(命の門番)として専門家につなぐこと、民間のボランティアが連携して支援することが、自死対策の解決策になると期待されています。

 相談窓口は「こころの電話」(県立精神保健センター、017-787-3957,3958)、「いのちの電話」(0172-33-7830、毎日午後零時時~同9時)、「青森多重債務被害をなくす会」(017-718-3792)。

 

(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)
=第3木曜日掲載=

 

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