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第56回 有床診療所(上)-県内施設も年々減少 (2013/11/21陸奥新報掲載)

 先月、福岡市の整形外科有床診療所で火災が発生し、多くの方が犠牲になりました。今月は「有床診療所」とはどのような医療機関なのか解説します。

 

▽19床以下が診療所

 医療施設は医療法によって「病院」と「診療所」に分けられています。入院ベッド数が20床以上は病院、19床以下は診療所に分類されます。さらに診療所は医科と歯科があり、医科の診療所は「有床診療所」と「無床診療所」に分かれています。

 病院の医師数は届け出のベッド数、入院患者数によって人員標準が決められていますが、有床診療所の医師は1人以上となっています。

 

▽48時間規制撤廃

 2007年まで、有床診療所は医療法で「48時間を超えて入院させることのないよう努めなければならない」と入院期間に制限が設けられ、一時的な入院を受け入れる医療施設とされていました。現実的には48時間を超えて入院する人が多数を占めていたので、2007年に医療法が改正され「48時間入院規制」が撤廃されました。

 それに伴い診療報酬の見直しも行われ、その条件である入院基本料を算定するための「施設基準」の項目も増えました。

 

▽入院費が安い

 診療報酬の点数は看護職員数と患者の入院期間、状態によって決められ、長期間入院する人の点数が低くなるように設定されています。看護職員が7人以上いる有床診療所での入院医療費は1日5110円、4人未満の診療所では3510円と病院の基本料の3分の1程度と低く設定されています。

 

▽全国で9257施設

 全国の有床診療所は1990年には2万3303施設ありましたが、年々減り続け、2013年8月末日時点で、9257施設になっています。

 有床診療所が減少する理由として、医師の高齢化、医師一人で365日対応することが大変、看護職員の確保が困難、長期の入院患者が増えると診療報酬が下がることによる経営の悪化などが上げられています。

 有床診療所は、全国的に毎年4%程度減り続け、県内でも全国と同様に減少し毎年10施設ほど閉鎖が続いています。

 無床診療所は全国的に増えていますが、県内では減り、勤務医だけでなく開業医の減少も問題になっています。

 

 

▽消火設備は消防法

 2007年の第5次医療法改正時には、医療事故を防ぐために医療安全に対する評価が見直されましたが、火災に対する消火設備の設置基準は変更されませんでした。病院や診療所の基準は、医療法ではなく消防法によって決められているためです。

 消防法は06年に長崎県で起きたグループホームの火災事故をきっかけに、07年6月に一部改正が行われました。基準は施設ごとに決められ、福祉施設ではスプリンクラー等の設置義務が厳しくなりました。改正前まで、スプリンクラーは延べ床面積が1000平方㍍以上の施設に設置が義務付けられていましたが、改正後は275平方㍍以上に変更。経過措置で設置が昨年3月まで猶予され、その後は全ての施設で設置されています。

 しかし、医療機関についての変更はなく、現在も病院は平屋建て以外床面積3000平方㍍以上、診療所は6000平方㍍以上に設置義務を設けています。

 福岡市の整形外科火災をきっかけに、消防法の基準を厳しくするだけでは有床診療所の経営悪化を招き、診療所閉鎖に拍車を掛けるのではと危惧されます。

 次回は、新たに期待されている有床診療所の機能、地域の医療や介護の拠点としての機能などについて解説します。

 

(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)
=第3木曜日掲載=

 

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