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第60回 医療と診療報酬の改定 -増税も一部据え置き- (2014年/3月/20日陸奥新報掲載)

 4月1日から医療費の支払いルールである「診療報酬」が改定されますが、その内容がほぼ決まりました。今回は、消費税への対応、在宅医療、地域包括診療について解説します。

 

▽増税分は患者が負担

 初診料は270点から12点引き上げられて282点(+4.3%)になります。再診料と外来診療料(200床以上の病院)はいずれも3点引き上げられ、それぞれ72点(+4.2%)、73点(4.1%)になります。つまり、初・再診料の引き上げは消費増税分で、受診した患者と保険料で負担することになりました。

 

 

 「今回引き上げられる消費税は3%なのに+4%はおかしい」との批判もありますが、増税分を全ての診療報酬項目にプラスするのではなく、一部の項目で対応するためです。

 

 薬や治療材料の価格は消費増税分が引き上げられますが、医療廃棄物の処理費用、血液などの検査費用、電子カルテやレントゲンなどの画像保存システムの保守管理料などについては消費税対応がありません。医療機器購入時の消費税も考慮されず、今後消費税が10%に引き上げられる時にもう一度議論することになっています。

 

▽集合住宅で在宅医療が安く

 有料老人ホーム、高齢者向け住宅などに入居して在宅医療を受けている人の診療報酬体系が大きく見直されました。集合住宅で診療を受けた時には、「同一建物」として、訪問診療の点数が大幅に引き下げられることになりました。

 

 これまでは一部の点数を除いて、個別の家を訪問診療しても、集合住宅に住む複数の患者を訪問診療しても一人当たりの点数は同じでした。そのため集合住宅では必要性が低い「ついでの診療」があるのではないかと批判が起こっていました。また、同一建物と何㌔も離れた一戸建てに住んでいる人の訪問診療点数が同じというのは不合理だとの意見もあり、今回は細かく点数を決めたと説明されています。

 

 患者から見れば、安くなってよかったとなりますが、医療機関は診療報酬が下がると医療を継続できなくなります。高い点数が算定できる訪問診療に変更するか、訪問診療から撤退する選択肢も予想され、医師不足の地域では在宅医療に穴が開くのではと危惧されます。医療現場からは、もっとスマートな改定をすべきだとの声が上がっています。

 

▽田舎では高ハードル

大病院から診療所へ、医療から介護へ誘導する「地域包括ケアシステム」が前面に押し出され、「地域包括診療料」(1503点)と「地域包括診療加算」(20点)が新設されました。これは主治医機能を持つ中小病院や診療所の医師を評価する点数で、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、認知症のうち2つ以上の病気で通院している患者を継続的に診療した時に算定するものです。

 

 全ての医療機関で導入するのではなく、患者の飲んでいる薬を全て把握し、24時間対応するなどの条件を満たす診療所か、200床未満の病院が対象です。かかりつけ医の条件には、介護サービスを提供するか介護保険事業に参加することが含まれています。

 

 ただ、田舎など24時間対応の調剤薬局がない場合は、24時間対応の院内処方が必要となり、診療所にとってはかなりハードルが高いと思われます。都会では可能かもしれませんが、田舎ではほとんど手を挙げないと予想しています。過去にあった後期高齢者診療料などの包括点数は国民的反対で廃止されました。今回の包括点数も将来的には「登録医制度」「人頭払い制度」などフリーアクセスを制限する危険な狙いがあると反対の声が上がっています。

 

(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)
=第3木曜日掲載=

 

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