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第63回 障がい者の福祉制度(下)~介護保険申請でどうなる? -サービス内容に制限も-
(2014年6月23日陸奥新報掲載)

 障がい者が65歳になった時や、64歳以下の障がい者で介護保険指定の特定疾病(脳血管障害や筋萎縮性側索硬化症など)の人が40歳になると、市町村から介護保険の申請をするように勧められます。今回は、介護保険に移行すると負担やサービスがどのように変わるのかを整理します。

 

▽介護保険が優先

 障害がある人の医療、福祉、介護は複雑に重なり合っています。例えば入院していない人のリハビリは医療保険と介護保険の両方があり、障害者総合支援制度の障がい福祉サービス(自立支援給付)の中には、居宅介護や短期入所といった介護保険と重複するサービスがあります。

 

 障がい者が要支援、要介護と認定されると、医療や障がい福祉と共通するサービスは、介護保険が優先されてしまいます。では介護保険制度に移行しても、今までと同じサービスが同じ負担で受けられるのでしょうか?

 

▽負担上限額に違い

 障がいがある人が自立支援給付(医療を含む)を受けた時は、それぞれの利用負担の上限額が何重にも細かく決められています。

 

 

 医療保険は負担の上限額が決められていますが(高額療養費制度)、重度の障害がある人で非課税世帯は負担ゼロになっています(重度障がい者医療費助成制度)。

 

 負担軽減策があっても食費や負担金を支払うことで生活保護の受給対象になる場合は、対象とならない額まで自己負担の上限額や食費などの実費負担額を引き下げる「生活保護への移行防止策」が最終的に講じられてきました。

 

 しかし、難病に指定された人は難病新法によって今後の負担が増える予定です。特に、食費は限度額内での負担でしたが、3年間の経過措置後は全額自己負担です。

 

 障がい福祉サービスの一部を介護保険で受けるようになると、介護保険の負担上限額が適用され、超過分は払い戻される高額介護サービス費制度があります。

 

 また障がい福祉サービスを利用する人が同一世帯に複数いる場合などは、障がい福祉サービスの負担額と介護保険の負担額も世帯合算できることになっています。

 

 ただし、同じ人が障がい福祉サービスを併用している場合に限られ、移行して介護保険だけになった場合は合算ができないようです。

 

 難病患者が福祉、介護の各サービスを受けた場合、利用者負担がどのように軽減されるのか明らかになっていません。

 

 また、介護度と障害支援区分は判定基準が異なるため、今まで受けていたサービスの種類と量が介護度や支援区分によって制限される可能性もあります。

 

▽合算制度整備が課題

 医療保険と介護保険の利用額が高額になると、高額医療・高額介護合算療養費制度があり、個人や世帯で上限額が決められています。

 

 一方、障がいがある人が医療、福祉、介護の三つのサービスを受けた場合、合算の制度はなく、各サービスの上限額まで負担することになるようです。個人だけでなく、世帯収入によって三つの負担を合算し、無理のない負担上限額を決める制度を、早急に整備する必要があります。

 

 今まで通りのサービスを受けられるのか、負担額がいくらになるのかをよく確認した上で、介護保険の申請をすることが望ましいと思われます。

 

(青森市・大竹整形外科院長、県保険医協会会長、県社会保障推進協議会会長)
=第4月曜日掲載=

 

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