●結成会講演 要旨

樋口恵子 さん
樋口恵子さん−これは厄介払い制度だ−
 樋口氏は「日本は人の一生を幸せに支える社会保障にするのか、命よりも金をつくる社会保障にするのか。高齢者たちを感情的にさせるような政策をした官僚には責任がある」と批判。「後期高齢者が主体となる物事を決める時ぐらいは、75歳以上の意見を聞くシステムを作ってほしい」として?当事者不在の罪、「一般論としてなぜ75歳なのか。しかも有無を言わさず、引かれた後の年金がくるひどい制度」として?線引きの罪、天引の罪、「裁判員制度にあれほどお金をかけて国民に一生懸命説明していることを思えば、年寄りがバカにされていたとしか思えない」として?説明不十分の罪など、計7つ+αの罪を挙げた。

宇沢弘文 さん
宇沢弘文さん−日本の医療制度の状況は悲惨だ−
 宇沢氏は「1980年代、中曽根政権時に日本に市場原理主義がもたらされた結果、医療崩壊の土台が作られてしまった」として、「医者が多すぎる、医療費が高すぎると、医学部への入学者を徹底的に減らしてさらに報酬も減らした。医師は最適と思われるベストの治療をするのが義務であり権利でもある。それにもかかわらず、医師の尊厳を傷つけるような処遇を続け、今、日本の医療制度はかつて崩壊した英国のそれに匹敵するほど悲惨だ。後期高齢者医療制度はその代表と言える。医師の高い志も国民の信頼も、一度失われれば回復は不可能に近い」と日本の危機的状況について触れた。

●メッセージ

中野渡のりこ さん
 後期高齢者医療制度に怒っている皆さんは、本当は何に怒りを覚えているのか。75歳という線引きにか。年金天引きの強制にか。若い方達にも知らない間に負担を強いている制度の在り方なのか?すべてに対して非常に怒りを覚えている。これはしっかり解消しなければならない、と日々お年寄りの方々と話をしていて思う。
 後期高齢者医療制度の保険証を見せてもらったが、その小ささと薄さ。お年寄りを何だと思っているのか。しっかり持っている事のできないお年寄りの感覚を、役人は分かっていないのか。15日にあわせて保険料が変わるという通知(市役所から)も、字が小さすぎて読めない、悔しいと泣きながら話してきた。
 私たちは今の制度を廃止して、きちんとした制度をつくりたい。そもそもの原因は、国のやり方が我々の生活や気持ちに向いていないこと。私たちが本当に求める、みんなが安心して、病院に行っても、できれば負担なく治療を受けられる、そういう制度を求める気持ちを全く見てくれなかった。特定の人達だけが利益を得る制度だった。
 私の理想は、誰でもお金を払わずに診療を受けられる制度をつくること。しかし、そのためにはどうしてもみなさんに負担を強いてしまう。その場合でも、皆さんが納得できる負担であればそれはしっかりとした医療制度として整えられると思う。
 初めて今、こういう立場で活動している。廃止に向かって全力をかけたい。

渡辺英彦 さん
   寺沢先生は青森市のバラ会の会長。後期高齢者医療制度について、ものすごく怒った話をされたことに驚いた。この会の結成に対する情熱を知って、医師としての代表としてすごいと思った。
 青森県の平均年齢はそれほど高くないが、日本の女性の平均寿命は85.99歳、男性は79.19歳。これは世界の3位。そういう長寿国にある。そして、これだけの長寿国をみんなが敬おうと、9月15日の敬老の日がある。しかし、75歳で線引きをする。それ以上長生きをしたいのであれば、入場券が必要というばかりの制度。これでいいのか。
 これをやったのは5年5ヵ月やった、自民党をぶっ壊すと言って出てきた小泉さん。しかし、実際に壊れたのは市民の生活、そうして出てきたのが医療制度だ。しかも、ベッド数を35万あるのが、あと4年後に22万にするという。医療費がかかるのは確かにお年寄りだが、それを排除するために22万にするのか。これが敬老の日をもつ日本のすることか。
 90日間未満の入院であれば、1日12250円。それ以上であれば特定疾患、医者の承認なしには居られない。このような日本の政治を変えるために、寺沢先生のもと、青森が進化したと言われるように頑張っていきたい。

山内崇 さん
 後期高齢者がテーマ。これについては、明確に反対、廃止しなければならない、という立場を申し上げる。
 今の医療の状況を見ると、医療費の削減、日本の国の中で06年の骨太方針、社会保障関係を毎年2220億万円ずつ削減していくということだが、1983年に言われた医療費亡国論。これ以上医療費が増えると立ちゆかなくなるとして、医師全体の定数も減らし、それも抑制に導いていったことが底流。
 今の日本の水準は極めて低いもの。医療費もGDPの8%。G7の国々と比べると、少なくとも10%を確保しなければいけないのに。そういう意味で単に、経済の考え方を医療に持ち込むことが、今の医療をいびつなものにしてきている。
 私も宇沢先生がおっしゃっているように、市場原理、規制緩和、或いは効率化のために医療を経済の考え方でいじることに問題があったと言わざるをえない。まして厚労省のやっていることは、後期高齢者医療制度は、官僚的管理を強めていく一環以外の何ものでもない。
 日本の患者さんの負担は世界最高水準、そして医療と医療費の水準は極めて低いものだ。診療報酬の制度をきちんと見直し、本来、公のものとして安心して暮らせるものを田舎であってもつくる。そのためにも大きく今の制度を見直し、変えねばならない。それが実情であると思う。
 自治体、民間の病院経営は本当に苦しいが、それでも関係者の努力で我々は支えられている。今こそ、国の医療制度の大きな転換をはかって、医療関係者が十分に腕を振るえるような環境をつくりたい。その立場で頑張りたい。

吉俣洋 さん
 後期高齢者医療制度撤回に向けて全力で頑張る決意を最初に申し上げたい。この医療制度は人と医の道に反する。
 75歳で人間を区切る、その不当さ。しかも医療差別と保険料負担まで持ち込む。共産党試算によると、2008年の平均7.2万の保険負担は2015年には9万8000人、10年ごとに16万、24万6000円、37万9000円、58万3000円と増えていく。際限のない医療負担を押し付ける、これは人の道に反する。
 医の道に反するとは、医療の現場で働くみなさんのお話を聞いて感じたこと。「この制度は医師の心を砕くものだ」と、青森市医師会の会長である齊藤先生は話しておられた。
 制度の撤回に共同の力で立ち向かいたい。政治の中身を変えれば、庶民が増税しなくても立派に医療が支えられると思う。後期高齢者医療制度撤廃に向けて、反対の一点で共同を広げるために力をつくしたい。
 共産党は国会内外で後期高齢者医療制度撤廃に全力をつくす、撤回に向けた世論を大きく広げる先頭にたつ決意をする。

高橋千鶴子 さん
 私は衆院厚生労働委員会で、同制度廃止法案の提案者のひとりとして、みなさんと一緒に頑張ってきた。全国に先駆けての「怒ってる会」誕生に心から感謝します。
 私はもっともっと怒ってもいいと思う。「後期」という言葉に気持ちが参ってしまうという女性がいた。高齢者の方々が、何か厄介者扱いされているような気がする、そういう気持ちにさせることが制度の狙いのひとつ。
 「高齢者の特性にあった医療を・・・」と、厚生労働大臣は何度も答えた。お迎えが近いことを自覚して、だから病院には行くな、なるべく早く退院してくれという、医療費を削減するのが目的。生きのびてきてこの仕打ち。そこに怒るのは当然のことだ。
 こんな川柳があったと聞いた。(戦後)シベリアから帰ってきて、舞鶴港で見た「これからは文化国家をつくる」という看板。あれは一体何だったのかと。そういう怒りが寄せられている。
 みなさんはもっと怒ってもいい。そして喜んでもいいと思う。怒っているだけでは長続きしない。地域の取り組み、国会での論戦、その中を通して世論が動くのを肌で感じた。署名は600万、自治体決議は655、不服審査請求は全国で併せて8000を超えるものがある。青森の後期高齢者診療料の届出はゼロ、与党も見直しを迫られるところにきた。確信をもっていい。
 制度を撤回させるのか。麻生さんやその背後にいる財界の人達を笑わせて(制度を)蘇らせるのか。それはこれからにかかっている。よりよい制度にすると大臣は言っているが、よりよい制度にするのと2200億の削減は枠内で両立はしない。予算全体を組み替えねばならない。そういう立場にたって撤回できるか、皆さんと一緒に進めたい。

横山北斗 さん
 今、国の借金が850兆円。このままでは国が破産してしまう。借金は返さなければいけない。それは分かるが、なぜ地方が?東京に比べて所得が半分の地方に、なぜ負担を求めるのか。
 障害者自立支援法をつくって福祉を必要とする人達に負担を、後期高齢者医療制度をつくって高齢者に負担を求めるのか。我々は怒らなければならない。許せないのはこの点である。
 借金を返す、それは分かるがなぜ地方、高齢者、福祉を必要とする人に求めるのか。強い者の見方である官僚支配の日本の政治は、官僚・財界と自民党の政治家が結託した政治は変えなければならない。
 後期高齢者医療制度、終末医療に実は1千億かかるといった厚労省の試算。プロのみなさん、本当にそんなに金がかかりますかか。
 金がないと言いながら、この制度をやると7割の負担が減る人がいるといい、実際に7割の負担が減るというモデルの4世帯を選んだ。結局、これで市町村を信じ込ませてしまった。
 7月に暫定税率が廃止になり、混乱した。混乱して大変だったのはガソリンスタンドではなく、市役所。多くの高齢者が訪れて、廊下まで人があふれた。市は椅子も用意しない。札を渡されて1時間も2時間も待たされて相談。こうした日本の冷たい政治を変えたい。そういう制度をつくった、厚労省に顔が利くんだといっている人たち。そういう人たちに責任を問うものでなければならない。

木村太郎 さん
 「後期高齢者医療制度に怒ってる会・青森」結成会のご盛会をお慶び申し上げます。
 皆さまの日頃の医療、保健充実への多大なご尽力に、心より敬意を表します。
 現行の制度は、急激な少子高齢化に伴う医療費の増大が見込まれる中で、持続可能な保険制度を構築するために、お年寄りの医療費を国民みんなで公平に支えるために制度化したものです。しかしながら、法制化の際ならびに施行までのこの2年間に、国民みなさんへのご説明とご理解を得る努力を怠り、いたずらにみなさんの不安と混乱を招いたことを、率直にお詫び申し上げます。
 国民みなさんから賜ったご批判、ご意見を素直に受け止め、政府・与党として制度全般を見直し、70歳代前半の医療費自己負担増の凍結、被用者保険の被扶養者の保険料負担の軽減に加えて、所得の低い方の保険料負担軽減、年金からの天引きに代わって、一部で保険料の口座振替による納付などの改善を実施しました。
 また今後、検討済みの諸改善策の実施を進めつつ、みなさんのご心配をなくすために、様々なご意見を謙虚に受け止め、一年を目途に幅広い議論を進め、前倒しで更なる見直しをはかってまいります。
 なお、現行制度では、市町村の国保からこの制度に移った世帯のうち、全国平均で約75%の世帯、青森県では約76%の世帯が、制度導入以前よりも保険料負担が軽くなることはご高承のとおりであります。
 また、平成18年までの制度に代わる、新たな高齢者医療制度の必要性については、与野党を問わず認識が一致しております。
 事実、平成12年には共産党を除く全政党で、「健康保険法等の一部を改正する法律案及び医療法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議」として、「抜本改革の重要な柱である老人保健制度に代わる新たな高齢者医療制度等の創設については、早急に検討し、平成14年に必ず実施すること」などを採択しております。
 これらの趣旨にかんがみ、「国民みなさんの医療の安心」を決して政争の具にすることなく、「お年寄りが安心して医療を受けられるよりよい制度」、真の長寿医療制度がどうあるべきかを真剣に考え、さらなる改善をするため、責任政党として全力で努力してまいります。
 貴会皆さまからのご指導・ご助言をお願い申し上げます。
 結びにあたり、皆さまの益々のご健勝をお祈り申し上げます。

有田芳生 さん
(ビデオメッセージ) 東京で後期高齢者医療制度の問題について語ると、20人、30人とお年寄りのみなさんが集まってきてくれる。中には「そうだ、その通りだ」と相づちを打ってくれる人もいる。直ちに皆さんの力でこの悪法を廃止していきましょう。同時に、これからの日本社会を見つめていけば、お年寄りが増えていく、介護を求めている人が増えていく。こういう時代においては、質の充実した新しい成熟社会を築いていかなければいけない。
 現在、日本の人口は1億2千万人。しかし、これから少子高齢化が続けば、100年後には4495万人にまで減る。明治時代の終わりの人口は約5000万。その頃と同じになっていく。
 今の自民党政治はどうなっているか。若い人達が希望に燃えて、お年寄りのために朝から晩まで働いても手取りで12?13万円。これでは暮らせない、結婚もできないということで、1年の間に5人に1人が介護の仕事をやめている。
 この自民党の悪政をやめて、国民本位の新しい政治にしましょう。これからの少子高齢時代、成熟社会をつくるには100年後、50年をみつめて、医療福祉中心の新しい産業構造をつくりましょう。そうすれば賃金も2倍、3倍になる。
 たとえばアイルランド。医療福祉中心の新しい産業構造をつくって、13年で3.66倍に、ノルウェーでも2.64倍。今こそ新しい産業構造にして、お年寄りに優しい社会をつくっていきましょう。


新着情報

結成メッセージ 後期高齢者医療制度に怒ってる会結成総会で 衆議院選挙立候補予定者の方々からメッセージを頂きました。
こちらからご覧ください。
後期高齢者医療制度に怒ってる会・青森 結成会開催 開催日時:2008年10月19日 午前10時から午後12時30分
開催場所:アピオ青森・2Fイベントホール
(終了しました)
案内チラシ(PDF 1.1MB)
準備会連絡先・呼びかけ人・会場地図(PDF 470KB)

更新情報

2009/01/08
結成メッセージ
2008/11/10
結成あいさつ
2008/10/10
HP開設

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